患者さんと対等の目線で向き合う「よこやまクリニック 横山顕子院長」

2018/12/23
インタビュー

宮崎市にある「よこやまクリニック」は心理療法と漢方治療に特化した女性専門の完全予約制のクリニックである。

このクリニックの院長である横山顕子先生は、自身の経験を元にに眼科医から漢方婦人科医へと転身を果たした異色の経歴の持ち主だ。

今回は横山院長に自身の経験や医療に対する考え方などを詳しくお話しいただいた。

母の期待を背負い医療の道へ


Q1,医師を目指すようになったきっかけについてお聞かせください。

きっかけというほどのものではありませんが、母に勧められたから、ということはあると思います。母方の祖父母と同居していた叔父が医師でしたから、わりと身近に考えることはできました。良くも悪くも母の期待を背負っていた部分があります。そして、それに答えたい自分もいました。

それから、当初、医師の中でも眼科医を目指したのは、小学生の頃から近視で眼科に通っていたことと、高校生の時に網膜剥離という病気にかかって眼科のお医者さんにお世話になった経験がきっかけになりました。当時としては最先端の医療であったレーザー治療をし、眼内にガスを注入して右斜め上45度という角度を守った姿勢で1〜2週間ずっと寝たまま安静にしていました。そのお医者さんに「うまくいっている」と言われてとても嬉しく思った記憶があります。

眼科は女性医師の多い分野だったことも魅力でした。女性の先輩方が続けてこられたということで、私にもできそうだと感じました。

Q2,漢方婦人科という医療分野に興味を持った理由についてお聞かせください。

漢方を好きになって漢方を仕事にしたいと思ったのが最初です。大学卒業後から漢方を仕事にしたいと思うまで、途中、体調不良のため仕事を辞めていた時期も含まれますが、とにもかくにも15年ほど眼科に係わっていたので、当初は眼科医のまま漢方ができないか検討しました。日本全国を探せば、珍しいとは思いますが、そのような先生方は実際いらっしゃるので、その先生方にお話しを聞きに行きましたが、まずは自分のクリニックを立ち上げてからでないと難しいと指摘されました。眼科の患者さんで漢方治療を希望される方は少ないですし、漢方は病院に経済的にはなかなか貢献できないので、勤務医では難しいということです。

そのような事情と、自分自身の婦人科系の不調を漢方医師に相談してよくなったという経験があって、その経験から、同じように婦人科系の不調を漢方で治したいと思う人は多いはずだという思いもありました。それで、漢方をスムーズに仕事にできる漢方婦人科を仕事に選びました。眼科医の頃、仕事は向こうからいくらでも舞い込んできましたが、婦人科漢方医になるためには営業が必要でした。知り合いの先生にこちらからアピールして、なんとか雇っていただくことができたのは幸運だったと思います

様々な人と出会い自分に合った道を探した


Q3,漢方婦人科医になって実際に患者様と向き合ってみて初めて気づいたことがあればお聞かせください。

皆様、本当に頑張っていらっしゃる方が多いです。ただ、あまりにも頑張りすぎたり細かく考えたりしているとかえってうまくいかない場合もあります。心の問題が体に反映されて不調になっている場合も多く、私自身が心理療法を身につける必要があるとわかりました。

また、質の高い診療をするには私自身が心を安定させておく必要があるとも感じました。現在、漢方治療と心理療法の二本立てで診療していますが、その素地は漢方婦人科医になって、患者さんに実際向き合うことで培われたのだと思います。

Q4,横山様自身、これまでどのような医師を目標に歩んで来られましたか?その過程での意識の変化についても教えてください。

実際に医師になる前には、目標として、整形外科の開業医だった叔父、私の目の治療をしてくださった眼科の先生、その先生に紹介してくれた女性の眼科開業医の先生などの姿がありました。眼科医局で研鑽していた頃も素晴らしい先輩方に恵まれましたが、医師として最も影響を受けたのは、内科医で漢方診療をされていたK先生です。この先生との出会いで漢方医を目指すことになりました。

それと、眼科医のD先生には別の意味でショックを受けました。この先生の手術は本当に洗練されていて美しく、自分とは力量があまりにも違っていて、自分は眼科手術には向いていないとはっきりとわかり、別の道を探すきっかけになりました。漢方医を目指すようになってからは、K先生に紹介して頂いたりして様々な漢方医の先生方の診療を見学させて頂きました。どの先生の診療もそれぞれに興味深かったです。

また、心理療法を始めるきっかけになった米国の精神科医のワイス先生の存在も自分の中では大きいです。とても誠実な先生だと思います。

自分の健康を守れるようにサポートをしていきたい


Q5,漢方婦人科領域の医療の課題は何であるとお考えですか?また、その中でどのような漢方婦人科医の存在が必要ですか?

漢方婦人科領域全体を俯瞰するような立場ではないので、課題と言われても、と思うところはありますが・・・私の場合、不妊症の患者さんを多くみていて、そこでの問題点は、妊娠を望む患者さんの高年齢化だと言われています。よくよくお話を聞いてみると、皆さん、それなりに高年齢化してしまった理由・背景をお持ちなので難しいところですが、教育や啓発はある程度必要かと思います。避妊の話は聞いていても、不妊の話は聞いていらっしゃらない方が多いですから。私自身できるだけ発言するようにしていますし、教育や啓発を行う人材の育成にも関わりたいと思います。

それから、私個人の問題点については、西洋医学の進歩は日進月歩で、私が行っているのは漢方治療ですが、必要な時には西洋医学のほうにつなげられるように、西洋医学の知識はちゃんと更新していくべきだと考えています。また、漢方診療全体での問題点は、生薬の値段が高騰していること、必要な生薬が今後も確保できるのかが不透明なところだと思います。国の保険診療も財政的に問題を抱えているようですが、必要なところには投資して、節約できるところは節約する必要があるのではないかと思います。だれもが自分の健康は自分で守れるように、病気の予防などについてお伝えできるようにもしていきたいです。

Q6,今後、漢方婦人科医療はどのような展開を迎えていくとお考えですか?また、そうした中で漢方婦人科医が医師として活躍していくために必要なことは何だと思いますか?

不妊症についていえば、晩婚化、子宮内膜症や子宮筋腫の増加などの問題がありますからこれからも患者さんは増えていくと考えられます。日本では、不妊症に対して、現在、西洋医学的には体外受精―胚移植という医療技術が最終手段となっていますが、これは経済的・肉体的だけではなく精神的にも相当な負担がかかる方法です。

それから、体外受精―胚移植をされていない方でも不妊かな?と感じた時点で既に多くのストレスを抱えている場合が多く、そのサポートが求められています。そのため、漢方という物質的な手段だけではなくて、心理療法の知識を持ち合わせていることが必須だと考えています。また、不妊症だけではなくて、更年期障害や月経関連の問題でいらっしゃる方なども、多かれ少なかれ様々な心理ストレスをお持ちですから、私自身、ストレスに対処する漢方処方の腕を磨くとともに心理の勉強も続けていきたいと考えています。

患者さんが自分らしさを取り戻した姿を見るのがやりがい


Q7,医師として喜びや、やり甲斐を感じた瞬間はどんな時ですか?

患者さんが元気になっていく姿をみるのは嬉しいものです。子供を授かった方はもちろんですが、そうでない終結を迎えた方も、その方らしい姿が見られたりすると、やりがいを感じます。患者さんと会話のやり取りなどいろいろコミュニケーションをとれる漢方診療自体が楽しいし奥深いです。私にとって新しい物の見方や問題の解決法を、患者さんのほうから教えてもらうことも多いです。これはしっかりと時間をとって、その方に向き合える環境だからこそできることで、これからもこの環境を保てるように努力します。

「患者さんのストーリーを大事に」


Q8,医師としてお仕事をされている中で、心に留めていらっしゃる言葉があればお聞かせください。また、それはなぜかについてもお聞かせいただけると幸いです。

上述した恩師のK先生に言われた言葉ですね。先生は「患者さんのストーリーを大事にするように」と言われました。私は漢方治療の他に心理療法を行っていますが、それはこの先生の言葉がいつも頭にあったことも一つの要因だと感じます。患者さんの持っている症状・病気は、その患者さんの置かれている状況・どうやってそれに対処してきたのか、などをお聞きしていると、当然のものに思えることが多いです。

でも、その症状で困っているわけですから、一般的な対処法や自分自身の価値観から考えるのではなく、患者さん一人一人の信念・価値観を大事に、その視点でもって一緒に試行錯誤していくことを心掛けています。そのストーリーの中に利用できるものがあれば積極的に利用します。もちろん、自分にプロとしての提案がある場合、提案したいことは提案しますが、あくまで提案であり、それを受け入れるかどうかは患者さん自身の選択です。受け入れてもらえそうになくても「種をまく」つもりで提案しますが、基本的には、私を含め誰かに言われたことよりも、その方がご自分で気づいたことのほうがずっと大きな力をもっていると感じます。そのストーリーにふさわしい治療ができた時は最高です。

Q9,横山様にとって恩師がいらっしゃれば、その方との出会いや、その方との関わりの中での意識の変化などについて教えてください。

恩師のK先生には、私は最初、患者としてお目にかかりました。自分の体調がすぐれず西洋医学以外の療法に意識が向き始めた頃でした。先生は本当に優しく、患者に真摯に向き合う方でした。クリニックの待合室には暖かいストーブが置いてあって、毎回、その炎を見ているだけで温かい気持ちになったことが今でも懐かしく思い出されます。

ただ、私は当時、眼科医をしていて、内科医でないと先生のような漢方医にはなれないのだと思い込んでいたので、その出会いから自分が漢方医を目指すようになるまでには10年ほどかかっています。当初にあった冷え症や不妊の問題だけでなく、風邪の時などにもお世話になり、また、家族の病気も先生のところで治療して頂き、そういった経験を重ねるうちに、自分の病気は漢方で治していっているのに、自分のところにいらっしゃる患者さんには西洋医学の薬を処方しているということに違和感が大きくなっていって、最終的に漢方を仕事にしました。

実は昭和の漢方の大家には眼科出身の方が二人もいらっしゃいますし、眼科医だからこそ東洋医学の考え方を自分の中に取り入れやすかったのかなと感じるところもあり、今では、眼科医出身でよかったと思っています。

家庭の充実が仕事の質を高める


Q10,今後医師としてどう歩んで行きたいとお考えですか?

基本的にはこれまでと同じです。目の前の患者さんが、よりその方らしく暮らして生きていけるように、自分にできることを淡々と続けていくことです。私個人の課題としては、仕事と家庭の両立ということがあります。一見、仕事をおろそかにしているとみられる危険性のあることですが、私は家庭を大事にすることこそが、仕事の質を高めるのだと信じています。医食同源や養生を大事にする漢方の世界にいることもありますが、どのような心持で、どのような食事をとって、どのような生活習慣をもっていて、などのことは健康状態によく反映されます。

漢方を処方するだけではなくて、どのような心持でどのような養生をすればよくなりそうか、提案をする素地は私自身の家庭での体験から生まれるのだということです。また、自分自身の状態をよいものにキープするためにも、家庭は大事です。自分の状態がよくない時には、仕事の質もよくないものになりがちです。せっかく同じ地球上に生まれ、同じ時代を生きているのですから、皆さまと楽しく生きていきたいと思っています。

Q11,医師として大切なことはなんだとお考えですか?

患者さんと対等の立場・目線で、同じ人間として向き合うことだと思います。お互い、得意なところ・不得手のところがあるはずです。まずは患者さんはご自分で自分を治していく力を持っていると信頼した上で、自分にお手伝いできることは提供しますし、無理なことは他の方に紹介してお任せします。特に西洋医学的に緊急に対応したほうがよさそうな方には、西洋医学の病院に行くようお願いします。

IT×インターネットについて


Q12,インターネット上には今も間違った医学的な情報が飛び交っていますが、横山様は 医療メディアの現状についてどのようなご意見をお持ちですか?

基本的には、情報がすぐ手に入る便利な世の中になったと考えています。ですが、たしかに情報には正確なものから間違っているものまで様々ですので、それを見分ける力が必要です。ある程度は身体の仕組みについて、ご自分で時間とお金をかけて勉強する必要があると思います。特に、細かい側面ではなくて、全体的な仕組みについて知っておくと、情報を判別しやすいのではないでしょうか?

また、情報を集めたり頭で考えるだけではなくて、自分の身体で感じとる能力も必要かと思います。情報がそのまま自分にあてはまるとは限りません。たいした副作用はないと考えられるものについては、ご自分で試してみるという態度も必要でしょうし、何かおかしいと感じた時には専門家を訪ねるとよいと思います。

それから、ご自分の闘病記をネットにあげるというケースも多くなってきていますが、これを読まれる時には特に注意が必要です。感情がこもっている文章を読むとき、私たちはついつい自分の身におきかえて読んでしまいがちで、それは強い暗示を自分に与えているのと同じです。ご自分がなりたい未来像を体現している方の闘病記は参考にしたいところですが、反対の闘病記を読むと、なりたくない方向に向かう可能性があります。

Q13,モノの.storeは、症状や病気で悩んでいるユーザーに対して、市販薬の正しい選び方を提供することで見た人の生活を豊かにすることをビジョンとしております。モノの.storeをご覧頂いた感想や思った点を教えてください。

モノの.storeでは、薬剤師という資格をもった方が監修した記事を発信しているという点を評価したいです。商品の説明以外に、養生法がかかれている記事もあり好印象ですが、一人の薬剤師さんだけの意見ではなくて複数の方の意見が聞けるとよりよいのではと思います。

また、漢方医としては、同じ症状や病名であっても、その方によって有効と思われる処方は異なる、ということに注意を促したいです。ユーザーの方には、ある程度ご自分でも人間の体の仕組みや漢方について勉強し、漢方医の診察を受けるなどしてご自分の体質について専門的な意見を聞くという姿勢も必要かと考えます。市販の漢方薬といえども副作用がおきる可能性はありますので十分に注意してしすぎることはありません。

そして、たとえば、寒気がして風邪の引き始めということが明らかで、汗はまだでていない場合は葛根湯など、以前に繰り返した症状と同じで、その時にはこの漢方が効いて、害もなかったとわかっている場合に、市販薬で対処されるとよいと思います。経済的でもありますし、病院に行く時間も節約できます。さらに、病院はいろんな病原体をもつ人が集まってくるわけですから、そこでの感染を避けることができます。自宅でゆっくり養生することで、風邪が治りやすいという効果もあるでしょう。まさに生活は豊かになるわけです。

よこやまクリニックの魅力とは


Q14,横山様の病院のアピールポイントは何ですか?

お一人お一人に時間をかけて向き合っています。完全予約制ですし、時間に余裕をもってご予約を受けていますので、クリニックで誰かに会う可能性はほとんどありませんし、診察前にお待たせすることもまずありません。一人でやっているので調剤には少々お時間を頂きますが、その間はご自分がゆっくりする時間と考えて頂けると幸いです。

また、現在の漢方保険診療ではエキス剤を使うことがほとんどですが、自由診療を行っている当院ではエキス剤のほかに、伝統的な散剤、丸剤、煎じ薬も必要に応じて処方します。また、漢方を処方するだけではなくて養生法もお伝えしますし、必要な方には心理療法も当院で受けて頂くことができます。心理療法では個人セッションだけでなく、マインドフルネス瞑想法やストレスマネージメント法をグループで行う講座も随時開催しているので、ご自身のご事情に合わせて選んで頂くことができます。

編集後記

横山院長の言葉は実体験に基づいたものが多く、一言一言に非常に説得力があった。またおごることなく患者さんと対等な立場でお話しいただき信頼感があると感じた。身体の調子が悪いのだけど相談相手がいない…という方は是非一度、横山院長に相談してみるとよいだろう。

この度はインタビューをお受けいただきありがとうございました。

kanpopo

モノの編集部

あなたに最適な商品を紹介する「モノの」の編集部です。

この記事のURLとタイトルをコピーする

あなたの悩みを薬剤師に直接相談できます

LINE@で薬剤師に相談する
「どんな薬がおすすめなのかわからない・・・」
「他にもないか知りたい・・・」
などの悩みに薬剤師が直接ご回答いたします。

ご相談だけでなく

役に立つ情報もお届けいたします!

関連記事

【薬剤師監修】腱鞘炎におすすめの湿布人気ランキング10選【手首や指の辛い痛みに】

宮崎市にある「よこやまクリニック」は心理療法と漢方治療に特化した女性専門の完全予約制のクリニックである。 このクリニックの院長である横山顕子先生は、自身の経験を元にに眼科医から漢方婦人科医へと転身を果たした異色の経歴の持ち主だ。 今

【薬剤師監修】多汗症におすすめの漢方人気ランキング10選【私生活での汗が気になる方に】

宮崎市にある「よこやまクリニック」は心理療法と漢方治療に特化した女性専門の完全予約制のクリニックである。 このクリニックの院長である横山顕子先生は、自身の経験を元にに眼科医から漢方婦人科医へと転身を果たした異色の経歴の持ち主だ。 今